点字を学ぶ

点字(基本的に日本語における点字)についての説明です。

1. 点字とは?

 点字とは、主に視覚障害者が手の指先の触覚を頼りに読む字で、規則的な点の盛り上がりによってあらゆる文字や数字を表現したものです。通常用いられる点字は、1マスに縦3・横2の六つの点によって表されています。英語による呼び名はBrailleで、6点式点字の考案者、フランス人のLouis Braille(ルイ・ブライユ)に由来しています。
 点字に対して、晴眼者が使用する通常の文字のことを「墨字」と呼びます。
 小学校4年生の国語教科書(光村)において、単元の一つとして「点字」について取り上げられています。

2. 日常生活や公共の場における点字・点字に類似したもの

 近年では、バリアフリーやユニバーサルデザインの一環として、点字による表記案内の設置が公的に行われるようになりました。

  点字表記の事例 〜

  公共機関、たとえば電車の駅や大学校舎の各所には点字案内表記が見受けられます。
 会談の手すり・自動券売機・触地図・トイレ案内表示・教室番号表示・エレベーターなど。
 他にも、缶入りビールやアルコール飲料のふたの部分・洗濯機や電磁調理器のボタン・自動販売機・郵便ポスト・ATMなどに表示されています。

  点字に類似したものの事例 〜

 点字ブロック(視覚障害者誘導用ブロック) ブロックの盛り上がりには、@線のように出っ張ったものと、A丸いプツプツのように出っ張ったもの、大きく分けてこの二つのタイプがあります。それぞれ主に、@には「このまままっすぐ進め」、Aには「ここでとまれ・ここで曲がれ」といった意味があるようです。
 シャンプーの容器(刻み入り容器) シャンプーとリンスとを間違えないように、シャンプーの容器には点の刻みを表示しています。高齢者や障害者に対する配慮ということで、花王(株)が先駆けとして考案し、業界全体へ働きかけました。現在では、ほとんどの容器に用いられています。
 宅急便不在配達通知票 ヤマト運輸が考案しました。「クロネコヤマトの宅急便」にちなんで、不在配達通知カードの端に「ネコの耳」を表す2つの連山形刻み目が付けられています。
 他にも、飲料用紙パック容器、日本銀行券(紙幣)の凹凸・プリペイドカードの端の切り欠きなどがあります。

3. 点字の歴史

 1825年 フランス人のルイ・ブライユがアルファベット(25文字)の6点式点字を開発。当初は主に点字楽譜の表記という目的で使われていた。
 1854年 ブライユ式点字が文字としてフランスで正式に採用される。
 1890年 石川倉次が考案した日本語の6点式点字が採用される。
 1901年 日本式点字が官報に公表される。
 1922年 大阪毎日新聞社(現毎日新聞社)が「点字大阪毎日」(現点字毎日)を発刊する。商業新聞としては日本唯一の点字新聞として現在も発行中である。
 1926年 点字による衆議院選挙の投票が認められる。
 1940年 日本盲人図書館(現日本点字図書館)が開設される。
 1949年 同志社大学が日本ではじめて点字による受験を認める。
 1966年 点字表記法の制定機関として「日本点字委員会」が発足する。
 1975年 1月20日 日本共産党中央委員会が点字の機関紙「点字赤旗」を創刊。政党紙では日本唯一現在も発行中である。

4. 日本語の点字構成

 一般に使われている6点式点字に関する紹介です。
6点の内、左側を上から1の点、2の点、3の点、右側を上から4の点、5の点、6の点、として点に番号を記して言い表します。なお、これは読む時の形であり、点字板など手書きの点字器等を使って書く際には、挟んだ紙の裏から点筆を刺して記述するため裏表・左右が逆になるので注意です。

  仮名・50音

 母音を表す「あ」行の点字、これが基本形となります。基本的に6点の内、「左上側の1の点、2の点、4の点」の組み合わせで母音を表し、「右下側の3の点、5の点、6の点」の組み合わせが加わることによって、それぞれの行の子音を表します。「や」行の子音のみ例外です。

あ行  あ(1の点) い(1・2の点) う(1・4の点) え(1・2・4の点) お(2・4の点)
か行  母音+子音符(6の点)
さ行  母音+子音符(5・6の点)
た行  母音+子音符(3・5の点)
な行  母音+子音符(3の点)
は行  母音+子音符(3・6の点)
ま行  母音+子音符(3・5・6の点)
や行  下にずらした母音+子音符(4の点) や(3・4の点) ゆ(3・4・6の点) よ(3・4・5の点)
ら行  母音+子音符(5の点)
わ行  下にずらした母音 わ(3の点) を(3・5の点) ん(3・5・6の点)
記号類  っ(2の点) ー(2・5の点) 、(5・6の点) 。(2・5・6の点) ?(2・6の点) !(2・3・5の点) ・(5の点)

 濁音・半濁音・拗音については、活用する文字の前にそれぞれ濁音符・半濁音符・拗音符を前置きすることによって表します。また、拗音に濁点・半濁点が加わる場合にはそれぞれ、拗音符と濁音符・拗音符と半濁音符とを重ねて表します。各行における拗音については、「や」行の子音(4の点)を前置きし、ローマ字表記で「y」を除いた清音を記します。例 きゃ・きゅ・きょ(kya・kyu・kyo)→か・く・こ(ka・ku・ko) 基本的に音に忠実に表記されています。

濁音符  (5の点)を前置きする
半濁音符  (6の点)を前置きする
拗音符  (4の点)を前置きする
拗濁音符  (4・5の点)を前置きする
拗半濁音符  (4・6の点)を前置きする

 その他にも、外来語を表記するための拗音・特殊音を表す記号がいくつか存在します。例 ウィ・ウェ・ウォ・シィ・シェ・ティ・デュ・チェ・ファ・フィ・フェ・フォ・ヴァ・ヴィ・ヴェ・ヴォなど。
  拗音符(4の点) 特殊音符(2・6の点) 特殊音符(4・5の点) 特殊音符(2・5・6の点)などを前置きする

  数字

 数字については、仮名文字等との重複を避けるため、文字の前に数符を前置きすることによって表します。1〜9の文字=アルファベットのa〜i。また0については、アルファベットのjと同じです。数符の後には、数字を4桁まで一続きで書くことができます。5桁以上の大きな数は万や億などを間に挿入します。また、数字の次にくる文字がア行・ラ行の仮名文字の場合には、重複を避けるため第一つなぎ符を数字との間におきます。必要に応じて、コンマ区切りの数値などは位取り点で表記します。

数符  (3・4・5・6の点)を前置きする
小数点  (2の点)を挿入する
位取り点  (3の点)を挿入する
第一つなぎ符  (3・6の点)を数字と仮名文字の間に置く

  アルファベット

 アルファベットについては、すべて仮名文字と重複しているため、外字符や外国語引用符を置くことによって区別して表します。また数字と同様、ローマ字の次にくる文字が仮名文字の場合には、重複を避けるため第一つなぎ符をローマ字との間におきます。

外字符  (5・6の点)を前置きする
外国語引用符  (2・3・6の点)〜〜(3・5・6の点)外国語を括る括弧
大文字符  (6の点)を外字符の後、大文字の前に前置きする
二重大文字符  (6の点を二つ続けたもの)を外字符の後、単語の前に前置きする
第一つなぎ符  (3・6の点)をローマ字と仮名文字の間に置く

 上記に記した基本的な文字以外にも、数学で用いられる記号や数式、科学で用いられる化学式や科学構造式、音楽関係で用いられる楽譜などを6点点字で表現した専門的なものがあります。その他、点字で漢字を直接表現する試みとして、6点漢字や8点式の「漢点字」なども考案されています。

5. 点字の文法

  特徴的な事柄

 点字には、漢字・ひらがな・カタカナの区別がないので、理解しやすいように文節ごとに1文字分の空白を挿入します。これを「分かち書き」といい、点訳(点字翻訳)における重要な作業の一つとなっています。
 長い複合語は、3拍以上の構成要素ごとに区切ります。これを「切れ続き」と呼びます。
 段落の始まりは2文字分の空白で表します。

  実際の発音と点字表記 現代仮名遣いとの違い

 基本的に、点字は音に忠実に表記しています。実際の表記については墨字と同様、概ねは現代仮名遣いに準じていますが、下記の違いがあります。

 (1)ウ段・オ段の長音は長音符(ー)で表記する
 (2)動詞の語尾では「ウ」を用いる
 (3)現代仮名遣いで「おお」「こお」等と書く和語については、長音符を用いず、その通りに表記する
 (4)助詞の「へ」「は」は、それぞれ「エ」「ワ」と表記する

6. 点字の普及状況

 近年では、点字そのものは社会の中でもかなり普及してきています。ただ、すべての視覚障害者が必ずしも、常に点字を活用しているとは限りません。点字を完全に使いこなせる人は、視覚障害者の中でもごく一部の人になります。一人一人の見え方の違いや点字の熟練度などによってさまざまです。たとえば、後天的(中途)視覚障害者となった人にとっては、点字により良く適応できなかったり、覚えたとしても実際に読むのに時間がかかってしまうなどといったことも少なくありません。そのため、公的な場においては音声案内設備の設置、IT関係においてはパソコンの音声読み上げソフト・各種点字点訳ソフト・デイジーなどの普及を促進していくなど、視覚障害ユーザーが活用できる状態に整備していくといったように、点字以外の情報伝達手段を保障していくことも重要です。「点訳」といったことについてさらに言うならば、点字板・点字定規と点字用紙を用いて点字を手書きで打つといったような初歩的な作業は、もう今となってはほぼ希、あるいはほぼ必要性がなくなってきていると言っても過言ではありません。ただ、関西SLで毎年企画されている「点訳講習会」行事のように、基礎的な点字の成り立ちを知り、参加者同士で意見交換をしつつ、楽しく手書きで点訳体験できるような機会が年に一度くらいはあっても、十分に有意義ではないでしょうか。

  点訳作業の一環 テキスとデータ化

 文献や資料など、紙の資料に書かれていることを正確にテキストデータに変換するため、たくさんの作業を丁寧に行うことが必要です。具体的には、紙資料をスキャナで1枚ずつ読み込み、紙資料の画像データを作ります。その後、OCRソフトで資料のレイアウトや言語に合わせて1ページずつ読み込み範囲や設定を指定し、画像データをテキストデータに変換します。特に学術的な資料は多言語の参考資料や図表などが複雑に入り組むため、詳細に読み込み指定をする必要があります。読み込み後は、誤認識されてしまった文字を1文字ずつ目で見て修正します。完成したテキストデータについては、視覚障害ユーザーに対して送付する、または自動点訳ソフトなどを活用して点字プリンターで印刷することも可能です。

  参考

点字タイプライター  ライトブレーラー(通称カニタイプ)・パーキンスブレーラー・ブリスタ
点字PDA(ブレイルメモ・ブレイルノート)  BM16・BN46X・BM24・BM32・BMポケット(ケージーエス株式会社)
スクリーンリーダ  PC-Talker XP(株式会社高知システム開発)・ Focus Talk(株式会社スカイフィッシュ)・XP Reader(株式会社システムソリューションセンター とちぎ)・ JAWS for Windows(有限会社エキストラ)

7. 予備知識 指点字やメディアの中における点字の活躍

  指点字

 盲聾者に対する会話や情報伝達の手段として、両手の人差し指・中指・薬指、計6本の指を点字の6点に見立ててタイプライターの要領で指で叩くことにより点字を伝達する、「指点字」と呼ばれる方法があります。手のひらに文字を書くなどの方法と比べて情報の伝達速度が速く、また視覚障害者など点字を解する人にとっては習得が容易であるという特長を持っていることから、非常に有効な手段と言えます。

  メディアの中における点字の活躍

 ゲームボーイアドバンスソフトのポケットモンスターシリーズ、ルビー・サファイア・エメラルドの、「おふれのせきしつ」・「さばくいせき」・「こじまのよこあな」・「こだいづか」。及び、同シリーズファイアレッド・リーフグリーンの、「6のしま」の「てんのあな」で、日本点字図書館監修の元ゲーム内に点字が登場しています。作品世界の中では古代文字として扱われており、ゲームに付属する点字表と照らし合わせて、さながら暗号を解読するかのように謎を解く場面に遭遇します。
 この付属の点字表には、点字の成り立ちと点字を通してゲーム内での発見を、延いては現実世界での発見にも繋げて欲しいという旨の作り手の願いもまた綴られています。ゲーム内の点字は画面に映し出される映像であり、視覚障害者が認識できるものではありませんが、ゲームとしては非常にメジャーなタイトルであるポケットモンスターシリーズの、主要なプレイヤーである子供たちに「勉強や義務ではなく」遊びとして点字を読む機会を与えたということは、視覚障害を持たない者に対する点字への理解を深める上で画期的な試みだったとして、社会的にも評価されました。

  参考

 ゲームボーイアドバンスソフト ポケットモンスターシリーズ
ルビー・サファイア(2002年11月21日発売)
エメラルド(2004年9月16日発売)
ファイアレッド・リーフグリーン(2004年1月29日発売)

  点字リスト ゲーム内に登場する暗号一覧

「ここで あがれ」
「ここで あなをほる」
「さいしょに じーらんす おわりに ほえるおー そして すべてが ひらかれる」
「さいしょに ほえるおー おわりに じーらんす そして すべてが ひらかれる」
「わたしたちわ この あなで くらし せいかつし そして いきてきた」
「すべてわ ぽけもんの おかげだ」
「だが わたしたちわ あの ぽけもんを とじこめた」
「こわかったのだ」
「ゆーき ある ものよ きぼーに みちた ものよ」
「とびらを あけよ そこに えいえんの ぽけもんが いる」
「みぎ みぎ した した そこで かいりきを つかえ」
「ひだり ひだり した した そこで いわくだきを つかえ」
「あらたなる ときと きぼーと あいを もち まんなかで そらを めざせ」
「われわれの いしを つぎし ものよ まんなかで ひかりかがやけ」
「このまま うごかず ふたつの ときを まて」
「かべから はなれず このまま ひとまわりせよ」
「ものごとにわ いみが ある そんざいにわ いみが ある いきる ことにわ いみが ある ゆめを もて ちからを つかえ」
「いあいぎり」
「うえ」
「ひだり」
「みぎ」
「した」
「ひかりかがやく ふたつの いし ひとつ あかく ひとつ あおく」
「ふたつの ちからで かこが つながり ふたりの ちからで ひかりかがやく」
「そして あたらしい せかいが みえてくる つぎの せかいを つくるのわ あなただ もう はじまって いる」

8. その他

 日本の著作権法第37条には、「著作物を展示により複製することができる」と定められています。
 なおこのほど、著作権法の改正が行われた関係で、大学の図書館は、「音声にすることその他当該視覚障害者等が利用するために必要な方式により、複製し、又は自動公衆送信(送信可能化を含む。)を行うことができる」こととなりました。これに基づき、視覚障害学生への図書館資料のテキストデータ化対応を開始した大学の例があります。
 視覚障害学生の利用できる資料は図書館資料以外にも、点字図書館やライトハウス・サピエ図書館など社会の様々な場所に用意されています。大学図書館を含めた様々なリソースから、自分に合った資料の利用方法を探してみてはいかがでしょうか。

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